私は官能小説を、こう書いている。
2010年に第一回「団鬼六賞」の大賞を「花祀り」(幻冬舎文庫)という小説で受賞し、デビューしました。
団鬼六賞は官能の賞なので、当初私は「女流官能作家」という肩書でした。「女流」とついてしまうのは、そもそも官能小説は男性向けのジャンルであり、書き手も男性が多く、だからこそ女が描くというのがキャッチ―であったのでしょう。(男性だけど女性名で書いている人もいます)
ただ、それから十数年が経ち、今やポルノや風俗の現場でも「女性向け」が増え一般的となり、書き手も女性であることは全く珍しくなくなっているとは思います。
私自身はデビューしたのちにジャンルが広がっていき、性を描きはするけれど官能(つまりは読者を性的興奮させるもの)ではないもの、怪談、ミステリー、ホラー、時代小説、ノンフィクション……と様々なものを出版するようになり、今は「官能作家」という肩書は使っていません。
「官能作家」という肩書だけで敬遠して読んでもらえないことがあると何度も痛感し、悔しい想いを何度もしたからです。
それにくわえ「官能作家」という肩書はキャッチ―ではあるので、メディアに出たときに、ノンフィクションや時代小説、ホラー小説などの本の宣伝をしたいのに、性的なことしか言われず、すごくもやもやすることは、未だに続いています。
私は、どんなジャンルであれ、たくさんの人に自分が書いたものを読んでもらいたい。
だから肩書は、特定のジャンルではなく、「小説家」もしくは「作家」にしています。
ということを言ったり書いたりしていると、「官能小説を馬鹿にする気か!」なんて怒って嫌われもするのですが、官能小説は依頼がある限り書き続けます。そもそも好きで書いているし、もっといやらしいものを書きたいという願望もあります。
ただ年齢とともに、性的なモチベーションが昔とは形が違ってきているのが悩みの種です。
女性作家で、昔は官能小説を書いていたけれど、閉経と共に性のモチベーションが下がり性欲も喪失し、ジャンル替えした人も知っています。
自分がこの先どうなるかは、わかりません。
さて、そんな私が、今度、第三回団鬼六賞の選考委員に就きました。
人が書いた官能小説を読んで選評する立場となったのです。
改めて、自分は官能小説というジャンルをどう描いてきたかを、少し書いてみたいと思います。
注意していただきたいのは、決して「売れる官能小説の書き方」ではありません。また「賞を受賞するための書き方」でもありません。
あくまで、私がどう書いてきたかという、お話です。