京都では、神社仏閣へのお参りと甘いものはセットです。 ~パワースポットならぬスイーツスポットめぐりのススメ~ その1
私の小説家デビュー作は「花祀り」(幻冬舎文庫)という、京都が舞台で和菓子をモチーフにした官能小説です。
30代後半、いろいろ崖っぷちで何としてでも小説家になろうと、幾つかの新人賞に応募しました。デビューするために興味ないジャンル以外なら何でも書いてみようと、ホラー、怪談、青春小説など、片っ端から応募して、唯一最終選考まで残ったのが第一回団鬼六賞という官能小説の賞でした。
それまで官能小説なんて書いたこともなかったし、自分に書けるとも思ってはいませんでした。けれど選考委員を団鬼六自身が務めているならばと、応募したのです。
本来、小説の新人賞というのは過去作に目を通して傾向などをつかみますが、団鬼六賞は第一回なので、過去作が存在しません。ただ「団鬼六」という作家の名前が冠についているからと、私は団鬼六の官能小説のフォーマットのなかで書こうと決めました。けれど、単に団鬼六の真似事をしても、団鬼六に敵うはずもないので、自分のオリジナルは何だろうと考えたときに浮かんだのが「京都」でした。でも京都を舞台にした小説は、その辺に溢れています。
さて何を書こう……と考えていた時期に、友人と京都で会う機会があり、お土産を探しに高島屋京都の地下の和菓子売り場を歩き、「これだ!」とひらめきました。
和菓子の官能小説を書こう、と。
京都の和菓子は、美しくて、上品で、美味しい。
大学のときに田舎から京都に出てくるまで、特に和菓子を好きだと思ったことはありませんでしたが、京都の和菓子が美味しいだけではなく、ひとつの芸術品のように美しいことは結構なカルチャーショックでした。
そうだ! 和菓子だ! 私は京都の上流階級を舞台にして和菓子をモチーフに、老舗和菓子屋の女性職人が主人公の官能小説を書き上げ、デビューしました。結構、荒唐無稽な話のはずが、いろんな人に「京都ってこういうのありそう」と言われもしました。京都ならではのファンタジーなのかもしれません。
和菓子官能でデビューしたこともあり、仕事関係などを訪問する際のお土産を選ぶときにはなるべく京都の和菓子を持参するように心がけています。
デパ地下に立ち寄ると、新製品のチェックもしています。
さて、そんな「和菓子官能でデビューした作家」の私が京都に来て新たに存在を知ったもののひとつに門前菓子があります。
神社仏閣のそばに店を構え、参拝客が口にするお菓子です。
寺社と結びつき、その場所ならではのお菓子。
そこでしか食べられない、買えないお菓子。
ご利益もあるお菓子。
せっかく京都に来たのなら、お参りとセットで、美味しい門前菓子を楽しんでみませんか。
私自身が大好きな美味しい門前菓子&神社仏閣を、いくつかご案内していきます。
ご利益だけではなく、甘いものも味わえる京都ならではのスイートスポットめぐりです。